こんにちは
東京新宿・大阪上本町で
北田心理相談室を主宰しています。
うつ病・ひきこもり専門の臨床心理士
の北田義夫です。
今日は、「うつ病はなぜ自殺をひきよせるのか②」
と題して、北田が実際の臨床の中で
経験したなかで実感しているうつ病の
自殺を防止する簡単な方法について
お話します。
①では自殺から生還されたサバイバーというべき
方のお言葉を紹介しました。
また警察関係の現場に立ち会っている方からの
証言にも言及いたしました。
何故、僕はこのテーマにもひきこもりと同様に
思い入れがあるのかと言うと理由があります。
昨年度、日本臨床心理士会が東京都から受託された
自殺防止研修会を僕は都内5箇所の団体に提供させて
頂きました。
医療機関をはじめ、施術家さんの団体や
企業様にも実施させて頂きました。
ここで実感しましたのが、医療機関のみならず
身近なところでこのテーマは大きな問題に
なっているということでした。
例えば施術家さんの多くは「死にたい!」と
自殺念慮を口にする患者さんと大変多く
出会っているという事実でした。
これは自殺を防止していく上で
地域における大きなゲートキーパー(門番)に
なりうるということを物語っています。
私が驚いたのは何よりも、
何かお役に立ちたいのだが
アプローチの方法が分からず
手を拱いているという衝撃の事実でした。
彼らは、多くの自殺予備軍とも言える人に出会い
そのなかで苦慮しながら日々のお仕事を
しているという現実を目の当たりにしました。
研修会後、皆さん口を揃えてこれで
勇気を持って当事者のお話を受け止める
事が出来るということでした。
彼らが抱いていた一番大きな誤解は、
自殺念慮(死にたい気持ち)を口にさせると
自殺を誘発するのではないかという懸念でした。
これは大きな間違いです。
むしろこれを真っ直ぐに受け止めて
しっかりと扱うことが思考停止の状態に
まさに入っている患者さまに、夢から脱して
現実検討できる領域にまでエスコートできる契機
となるのです。
北田の場合は口に出されることを恐れず、
辛い気持ちをしっかりと受け止めて、
むしろ打ち明けてくれたことに
感謝しながら労をねぎらい
当事者の現実を見極める
力を検討していきます。
「大変な気持をよくお話してくれましたね」
「私に力にならせてください」
・・・そんな言葉しか言えませんが
何か2人の間に温かいものが不思議と流れます。
この時によく使うのが、
自殺のメリット・デメリットに
ついての話し合いです。
うつ病で自殺念慮を抱く患者様の多くは、
その時期は思考停止というべき「物事が冷静に
考えられない」状態に入っています。
こういう方は、「心理的視野狭窄」
(しんりてきしやきょうさく)という
物事の在りのままを見ることが出来ず
ちょうど見える範囲が狭くなっていると
いう言葉がピッタリとくるような心身の状態です。
適切なものの見方ができないばかりか、
一度こうだと思うと修正できなくなるなどの
思考の障害とも言うべき状態に陥っていきます。
この状態を冷静に見ていく上で、
メリットとデメリットを扱う事は
現実検討力を査定するうえで大変有効な
ことです。
しかし、形だけ真似ても決して旨く
いくものではありません。
冷静な分析力と肝の据わった対応が
何よりも求められます。
一般の方には、
①自殺念慮を真っ直ぐに受け止めること
②言って頂けたことに対して感謝を伝えること
③自殺しないことを2人の約束として残す
(安全契約)
という3段階を研修会ではお勧めしています。
今日のお話は、テーマが色々なものを
想起させるだけに厳しいテーマとなりました。
分からないところもたくさんあると思いますが、
質問は本ブログの「お問い合わせ」からお尋ね下さい。
可能な限りお答えさせて頂きます。
一般論ではお答えにくいので
このケースではどうなのかという質問を
お寄せ頂けますと大変有難いです。
今日は「うつ病はなぜ自殺を引き寄せるのか②」
と題して、自殺念慮を抱く人への実際の
対応の仕方について述べました。
しかし、「僕は生きている人専門だからねー」と
何気なく言い放った北田の言葉で「自殺を踏み
止まったんよー!」と最後に言われる方も
結構おられますので最後は気持ちが
勝負かもしれません。
(あなたのお役に立ちたい!)
「一緒に生きましょう」、「辛いけれど生きてたら
良いこともあるかもしれません」・・・・
言葉にならない心の声が一番自殺を考えて
いる人には深く届くかもしれません。
ここまでお付き合い頂き感謝です。
また、お会いしましょう。
次回は、「うつ病自殺を家族が防止する方法」
について述べます。
では
明日はきっと幸せな一日