<身の危険を感じていた状態から、「もう家に居ても良いよ」と母親が思えるようになるプログラム活用事例>
うつ・ひきこもりの専門家、
臨床心理士の北田義夫です。
今日も事例をお伝えします。
・家族構成
奈良県在住
父:59歳
母:52歳(Eさん)
長男:21歳
・北田のことを知ったきっかけ
地域の保健事務所が主催する不登校・ひきこもりの北田の講演会に参加
・北田に会うまでの問題
不登校経験を経て、高校入学後3日で辞めてから4年間引きこもっていた。
(中退後より暴力が激しくなる)
・改善のポイント
☆前の臨床心理士が指導していた
食べ物に薬物を混入するという行為をやめさせて、
【息子さんが求めているものは何か】に焦点化せたプログラムに取り組む。
・改善後の変化
☆母親を刺したいことが本心ではなく、
「辛い気持ちを分かって欲しかった」と息子さんの気持ちを
まっすぐ捉えることが可能となった。
<概要>
21歳の一人息子の母親。
小学校から登校渋り、中学校で完全な不登校状態に。
高校入学を果たすが直後に退学し、その後引きこもり生活に入る。
家庭内暴力が激しく、母親は常にいつか殺されるという恐怖にさらされていた。
前の支援者のときから、精神安定剤を医師から処方を受けて
息子の食べ物に混ぜることを続けていた。
北田と出会ってからは薬の混入を直ぐ止めさせて、
しっかりと息子を観察し、母親が記録に残すことを開始する。
息子さんの行動とその時に感じた感情を
詳細に記録するように指導する。
北田とのカウンセリングを継続するなかで、
記録を母親が北田と振り返る中で
「子供の求めているものは本当は何なんでしょうか?」と問われても
当初は答えることが出来ませんでしたが、・・・・
しかし、プログラムの終盤には私自身は刺されると真剣に考え怯えていたが、
息子は「私に辛い気持ちを分かって欲しかったんや!」という本当の叫びに
気付き始めました。
その後息子さんは2年を経てフリースクールに進学し、
無事卒業を果たされます。
「最近は、息子が可愛くなってもうずっと家にいても良いからと
思えるようになった」と赤ちゃんを見る眼差しで
語った最後のカウンセリングが忘れられません。
その後8年経ちますが、父親の仕事を継いで、後継者として
ひとり立ちしています。
母親の視覚障害が解消されて、子供の本当の気持ちが理解できたことで
解釈の世界から抜け出せたことが大きな変化につながりました。